医療従事者の方、患者さん、そのご家族の方を対象に、一般医薬品と医療用医薬品について解説しています。

てんかんは、大脳ニューロン(神経線維)の活動が過剰になって起こる、反復性発作を主な症状とする慢性脳疾患です。抗てんかん薬は、てんかんの発作を鎮めたり、発作が起きるのを抑える薬です。

抗てんかん薬には、バルビツール酸系、ヒダントイン系、スルフォンアミド系、ベンゾジアゼピン系など、多くの種類があります。いずれも、脳の中枢にはたらくなどして、痙攣の発作を抑制するものです。

てんかんは、部分発作と全般発作に大別でき、それぞれがさらに細かく分類されています。抗てんかん薬の選択は、そのてんかんの型や薬の実際の効果などを考慮して決められます。

主な副作用には、眠気やふらつき、運動失調などの神経症状、イライラ、行動遅鈍などの精神症状などのほか、皮膚症状や血液障害があります。

偏頭痛は、脳血管が何らかの原因で収縮してから拡張し、血流が増えたときに痛みが生じるものです。偏頭痛治療薬は、脳血管の拡張を抑制することで、頭痛を軽減・解消する薬です。

偏頭痛には、エルゴタミン系薬が多く使われていました。これは麦角アルカロイドの一種ですが、近年登場したトリプタン系薬はより効果が高く、こちらが主流になりつつあります。トリプタン系薬は、セロトニンの受容体に作用して、拡張している脳血管を収縮させます。

予防的に血管収縮作用のあるカルシウム拮抗薬やβ遮断薬が使われることもあります。

頭痛がするからと市販の鎮痛薬を常用していると、薬剤誘発性の頭痛を起こすこともありますので、医師の診断を受けることが大切です。

制吐薬は、嘔吐や吐き気を抑える薬です。これらの症状は胃腸障害によるものだから胃腸薬で治すべきだと思われがちですが、それだけではなく、神経性疾患や呼吸器系疾患、循環器系疾患など、さまざまな病気の症状として現れるものです。

嘔吐・吐き気は、基本的に延髄の嘔吐中枢が刺激されて起きたり、消化管などが受けた刺激が嘔吐中枢に伝わって反射的に起こるものです。そのため、神経系の薬で治療することになります。

制吐薬には、嘔吐中枢などの働きを抑制する中枢制吐薬、消化管などへの刺激が嘔吐中枢に伝わるのを妨げる末梢性制吐薬、その両方の作用を持つ中枢性・末梢性制吐薬などがあります。

鎮うん薬は、めまいの治療薬です。めまいが起こる原因はさまざまなので、めまいを起こした病気が確定した上で、それに対応する薬を使うことになります。脳循環・代謝完全約、交感神経刺激薬、向精神薬、抗ヒスタミン薬などが使われます。

パーキンソン病やパーキンソン症候群に伴う諸症状を改善する薬です。

L-ドーパ含有製剤やドパミン遊離促進薬、MAO-B阻害薬、COMT阻害薬は、脳神経の働きを活発化する作用のあるドパミンという物質を補充したり放出を促進するなどして、症状の改善や悪化を遅延させるものです。

ドパミンアゴニストは、中枢神経のドパミンD2受容体を刺激して、ドパミンの活動を高めます。抗コリン薬は、ふるえや筋固縮などの初期症状を改善する薬です。

すくみ足や無動、起立性低血圧には、ノルエピネフリン前駆物質が使われることもあります。

L-ドーパ含有製剤は、急激に減量したり、突然服用を中止すると、悪性症候群(高熱・発汗・頻脈・ふるえなど)が生じることがあります。

自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスの以上から怒るさまざまな症状を改善する薬です。交感神経は、分泌腺や血管、内蔵などを支配し、相対的に全身活動を高める働きをする神経系です。ただし、消化器の働きは抑制されます。副交感神経は、それと反対の働きをする神経系です。

自律神経さ漸くは、それらの働きを活発化したり抑制したりする薬です。交感神経刺激薬・遮断薬、副交感神経刺激薬。遮断薬の4種類と、神経節遮断薬、自律神経調整薬があります。

副作用としては、交感神経刺激薬には心悸亢進、頻脈、頭痛、ふるえ、低カリウム血症などが、同遮断薬には徐脈、低血圧、めまい、頭痛、倦怠感などがあります。

また、副交感神経刺激薬には腹痛、下痢、嘔吐、発汗などが、同遮断薬には頻脈、口渇、散瞳、排尿障害などがあります。

中枢神経障害による筋肉の痙攣や麻痺、筋緊張亢進などを治療する薬です。

中枢性筋弛緩薬は、脊髄や脳幹に作用して働きを抑える薬で、脳血管障害・脳性まひ・筋萎縮性側索硬化症・脊髄損傷などによる痙攣性の麻痺や、緊張型頭痛腰痛症顎肩腕症候群などによる筋緊張亢進などに有効です。

共通した副作用として、眠気、ふらつき、めまい、頭痛などの精神神経症状や、悪心・嘔吐、食欲不振などの消化器系症状が現れることがあります。

末梢性筋弛緩薬には、筋小胞体からのカルシウム遊離を抑制することで筋弛緩作用を示す薬と、神経と筋との接合部分に作用することで筋弛緩作用を示す薬があります。

前者は痙攣性の麻痺、全身こむら返り症、麻酔時の悪性高熱症や悪性症候群などに対応し、後者は麻酔時の筋弛緩などに対応します。

末梢性筋弛緩薬のなかには、まれに肝機能障害や呼吸不全、アナフィラキシー様症状などの重い副作用が出るものもあります。

結膜炎、細菌性・ウイルス性<・クラミジア結膜炎などには、ニューキロン薬、アミノグリコシド薬などの抗菌薬や、抗炎症ステロイド薬の点眼薬(ベタメタゾン)などが使われます。アレルギー性結膜炎の場合は、抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬を用います。

緑内障
眼圧の低下を図るために、イソソルビドやピロカルピン、交感神経遮断薬など、各種の薬が使われます。

白内障
水晶体の細胞膜や構造たんぱくの酸化を防止する効果のあるピレノキシンやグルタチオン、パロチン、チオプロニンなどが使われていますが、進行を食い止めるもので、白内障を治す効果はありません。

散瞳・調節まひ
眼底検査などをするときに瞳孔を開くための薬で、トロピカミド、アトロピン、ジピベフリンなどがあります。

眼精疲労
調節けいれんにはトロピカミド(散瞳薬)、調節衰弱にはシアノコバラミンなどが主に使われています。

ドライアイ
涙の成分に似た人口涙液を使用します。

急性中耳炎や副鼻腔炎(蓄膿症)、扁桃周囲炎などの細菌性感染性疾患には、ペニシリンやセフェム系などの抗菌薬が使われます。

滲出性中耳炎や慢性副鼻腔炎などにはニューマクロライド系の抗菌薬のほか、抗ヒスタミン薬が使われることもあります。抗菌薬の少量長期療法では、抗菌作用だけでなく、免疫を活性化させる作用も認められています。

アレルギー性鼻炎の治療は、抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬、ステロイド薬などを使用する、アレルギー治療が中心となります。鼻閉がある場合は、ナファゾリンやトラマゾリンなどの局所血管収縮約や、アレルギー症状を起こす物質の1つであるトロンボキサンA2に対する拮抗薬などが使われます。

突発戦難聴には、ステロイド薬の大量点滴に、代謝賦活薬やビタミン薬などを併用します。低音障害型難聴には、内リンパ水腫やうっ血状態を解消するために、イソバイド高張液や循環改善薬を用います。

最近やウイルスの感染による皮膚疾患には、各種抗菌薬や抗ウイルス薬を使用します。病原体によって使われる薬の種類が異なりますから、似たような皮膚病だからといって、以前に入手した薬を流用するのは不適切です。

湿疹や皮膚掻痒症、じんましん、乾癬、副腎皮質ステロイド薬や抗ヒスタミン薬が使われます。炊事や洗濯などの水仕事を繰り返して行うことが原因で起こる「主婦湿疹」などにも用いますが、亀裂があれば、止血・消炎・皮膜形成による傷口保護などの作用がある亜鉛華軟膏を併用します。

乾燥方の皮膚湿疹や角化症、魚鱗癬、老人性乾皮症などには、尿素製剤やビタミンA製剤、ビタミンD3製剤などが使われます。

また、皮膚潰瘍には、抗炎症薬のアズレンなどを用い、症状が重ければ、消炎酵素薬のリゾチームや、肉芽形成・組織修復作用のあるブクラジンなどを加えます。男性型脱毛症にはフィナステリド(プロペシア)が用いられます。

病原微生物は、ほかの微生物の繁殖を抑制する物質を出していますが、抗菌薬は、そのような微生物の特徴を利用して作られたものです。

抗菌約は、もともとは微生物が産生する物質であった(現在はそのほとんどが合成されている)抗生物質と、純化学合成される合成抗菌薬に大別されます。

抗生物質には、βラクタム薬(ペニシリン、セフェム薬など)、マクロライド薬、テトラサイクリン薬、クロラムフェニコール薬など、多くの種類があります。
一方の合成抗菌薬には、キノロン薬、ニューキノロン薬、サルファ薬などがあります。病原菌と病気によって、薬の種類や剤型は大きく異なります。

副作用には、じんましん・血管浮腫・喘鳴・頻脈・血圧低下などのアナフィラキシーショック、造血障害、胃腸障害、腎・肝障害、神経障害などがあります。

抗ウイルス薬・抗ウイルス療法薬は、ともにウイルス感染による疾病の治療薬です。前者はウイルスを直接攻撃する薬で、後者は免疫機能を調節してウイルス排除を補助する薬という違いがあります。

抗ウイルス薬のアシクロビルやバラシクロビルなどは、ヘルペスウイルスに感染した細胞に選択的に取り込まれて、ウイルスの増殖を阻止します。アマタジンはA型インフルエンザの、オセルタミビルはA型・B型インフルエンザウイルスの増殖を抑制します。

ジドブジンは、HIVによるエイズの治療薬です。ラミブジンは、B型肝炎の治療薬ですが、インターフェロンと併用することで効果を高めています。

抗ウイルス療法薬のインターフェロンは、ウイルスに感染すると白血球やリンパ球などが作り出す物質で、感染していない細胞に抵抗性を与え、ウイルスの増殖を抑えます。免疫グロブリンは、各種病原微生物に対する甲kたいを持つ物質です。

真菌の増殖によって起こる水虫や白癬(たむし)、カンジダ症、真菌血症、真菌性呼吸器感染症、消化管真菌症などの治療薬です。真菌の細胞膜や細胞壁、核酸などに作用して効果を示します。

皮膚疾患には外用薬を塗布しますが、体内の疾患や、皮膚疾患でも外用薬の効果がみられない場合は内服薬を用います。

アムホテリシンBやフルコナゾール、イトラコナゾール、フルシトシンなどはおもに深在性真菌症に用いられます。テルビナフィンやグリセオフルビンなどは皮膚真菌症にあ、ミコナゾールやナイスタチン、ミカファンギンなどは主にカンジダ症に使用されています。

重大な副作用はありませんが、ほかの薬との併用で相互作用が生じることがあります。

尿路結石には、結石溶解作用のある重曹やウラリットなど、尿酸の生成を抑制して結石をできにくくするアロプリノールなどが使われます。
頻尿には、膀胱の筋肉に作用するプロピベリンやフラボキサートなどが使われます。

前立腺肥大症から起こる排尿障害には、膀胱の収縮力を向上させるなどの作用のあるpラゾシンやタムスロシン、ナフトピジル、エビプロスタットなどを使います。
前立腺肥大症は、症状を悪化させる男性ホルモンの作用を軽減させるために、女性ホルモン薬を使って治療します。

勃起不全には、シルデナフィル(バイアグラ)かバルデナフィル(レビトラ)を使います。勃起不全治療薬には、心筋梗塞などの心血管障害を助長するおそれがあるほか、硝酸を含む薬との併用によって強い血圧低下が起こるなど、いろいろな副作用がありますから、医師の指導に基づいて使用することが必要です。

子宮収縮薬は、子宮の筋肉を収縮させたり出血を抑えるはたらきがある薬で、出産後の子宮復古不全や弛緩性出血の治療、流産や人工妊娠中絶後の子宮復古促進などに用います。エルゴメトリンやメチルエルゴメトリンなどの麦角アルカロイド薬が使われています。

子宮運動抑制薬は、子宮の動きを抑えることで、切迫流産や早産に対応する薬です。リトドリンや硫酸マグネゾール配合薬(マグネゾール)などがあります。

子宮内膜症治療薬のダナゾールやブセレニンなどは、女性ホルモン(エストロゲン)の作用を抑えて、症状の悪化を食い止める薬です。

痔疾患の治療(保存療法)には、症状に対応するため、消炎鎮痛薬や消炎酵素薬、抗菌役などが使用されますが、次のような痔疾患治療薬も使われています。いずれも、患部の炎症や出血、疼痛、腫れ、かゆみなどを抑える薬です。

パラフレボン、イオウ等配合薬、プロメライン、ビタミンE配合薬、シコンエキス、アミノ安息香酸エチル、塩酸ジブカイン等配合薬、ヒドロコルチゾン、硫酸フラジオマイシン等配合薬、トリベノシドなどです。

なお、肛門周囲膿瘍の急性炎症は切開して膿を排出するのが原則です。痔ろうは、自然治癒が望めないことが多いので、手術療法を行うのが一般的です。