赤ワインなどに含まれるポリフェノールの一種、レスベラトロールに、目の血管を拡張させる機能があることを、旭川医科大学などの研究チームが突き止め、大阪市で開催中の日本眼科学会で20日発表した。
成人の失明原因でトップを占める糖尿病網膜症をはじめ、血流障害による病気の予防効果が期待される。
研究チームは、がんの抑制効果が報告されているレスベラトロールに着目。人が赤ワイン3〜4杯を飲んだ場合の血中濃度に相当するレスベラトロール溶液を作り、ブタの網膜血管を5分間浸して血管の直径を測定したところ、通常の状態から約1・6倍にまで拡張した。
同様の効果は、血中のコレステロールを低下させる「スタチン」にもあるが、スタチンが血管内皮に作用するのに対し、レスベラトロールは、血管内皮とその外側にある平滑筋(へいかつきん)の両方に作用し血管を広げていた。
研究チームの長岡泰司・同大講師(眼生理学)は「人間で同様の効果が得られるかどうか確かめ、目の病気を予防する薬の開発につなげたい」と話している。
グラクソ・スミスクライン(GSK)は、グループの世界の主力製品である喘息治療配合剤「アドエア100ディスカス」「アドエア250ディスカス」「アドエア500ディスカス」の輸入承認を、成人の気管支喘息を適応として取得した。
「アドエア」は、気管支拡張作用を持つ長時間作用性吸入β2刺激薬(サルメテロールキシナホ酸塩)と抗炎症作用を持つ吸入ステロイド薬(フルチカゾンプロピオン酸エステル)をひとつの吸入器具におさめた配合剤で、気管支喘息の病態である慢性的な気道の“炎症”と“狭窄”の両方に1剤で優れた効果を示すとされている。
2つの有効成分を同時に、しかも簡単な吸入によって気道に直接届けることができるため、確実な臨床効果が期待でき、よりシンプルに喘息をコントロールすることが可能となる。
「アドエア」は、海外では1998年に欧州で承認されて以来、「Seretide」や「Advair」の製品名で、喘息およびCOPDの治療薬として既に120カ国以上で使用されており、海外44カ国で約3500人の喘息患者を対象に実施された大規模臨床試験では、本剤による継続的な治療によって75%の患者が「良好な喘息コントロール」を達成したとしている。
国内における喘息管理のガイドラインでは、軽症持続型以上の喘息に、第一選択薬である吸入ステロイド薬に併用する薬剤のひとつとして長時間作用性吸入β2刺激薬が推奨されている。
グラクソ・スミスクラインは、抗血栓症薬「アリクストラ皮下注1.5mg」、「アリクストラ皮下注 2.5mg」(一般名:フォンダパリヌクスナトリウム)について、「静脈血栓塞栓症の発現リスクの高い、下肢整形外科手術施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制」を効能・効果として、製造販売承認を厚生労働省より取得した。
「アリクストラ」は、血液凝固過程において中心的な働きをする活性化第X因子(Xa因子)を選択的に阻害する初めての化学合成の薬剤。現在EU主要国および米国を含む65カ国以上で承認されており、発売以来これまでに60万人以上の患者に使用されている。
日本においては、2005年11月に申請し、2006年2月には優先審査品目に指定されていた。また、静脈血栓塞栓症の予防薬については、国内10の医学会・研究会から、2004年に厚生労働省に対し、速やかな審査・承認に関する要望書が提出されていた。
静脈血栓塞栓症とは
静脈血栓塞栓症は、深部静脈血栓症(主に下肢の深部静脈に血栓ができる病態)と肺血栓塞栓症(深部静脈に形成された血栓が肺動脈に飛んで肺動脈が塞がれ、重篤な場合死に至る疾患)といった一連の病態の総称です。
近年、飛行機などによる長時間の移動中に発症したというニュースでも話題となっているエコノミークラス症候群は静脈血栓塞栓症の一病態です。
しかしながら、静脈血栓塞栓症は、実態としては病院において手術に伴って発症するケースが多くを占めます。
特に股関節置換術・膝関節置換術等の下肢の手術後は、深部静脈血栓症の発症率が34〜65%1)と高く、ひとたび急性肺血栓塞栓症を発症すると、死亡率は約30%とされ、死亡例の40%以上が発症1時間以内に死にいたる深刻な疾患2)です。発症してからでは救命が困難なため、その予防の重要性が指摘されています。
米国では、男女ともに肺癌(がん)が癌による死因の第1位となっており、早期発見が重大な目標となっているが、簡単で安価な呼気検査で将来、肺癌を検出できる可能性が医学誌「Thorax」オンライン版に報告された。
ヒトの呼気には、揮発性有機化合物(VOC)と呼ばれるさまざまな化学物質が含まれている。このVOCが疾患によって変化すると考えられており、これを検知する簡単かつ正確な方法の登場が望まれていた。
今回の研究で、米クリーブランド・クリニック(オハイオ州)のPeter Mazzone博士らが用いた「比色(ひしょく)センサーアレイ」は、5セント硬貨ほどの大きさで、それぞれ異なる化学物質で作られた36個のドットがついており、吸収する化学物質によってドットの色が変化する。小細胞肺癌を含む呼吸器疾患患者122人および健康なボランティア21人の呼気にこのセンサーを使用したところ、75%弱の精度で肺癌の存在を予測できたという。
米Lenox Hill病院(ニューヨーク)のLen Horovitz博士はこの技術について、有望だが、望むほどの特異性や感度はないとしている。患者の呼気から肺癌を検知するのに最も優れているのはイヌの嗅覚で、予備研究では99%の精度を示している。
Mazzone氏は「今回の技術を改良すれば、イヌと同じことができる」が、研究にはさらに5〜10年を要すると述べている。このほかにも、癌の「マーカー」を検知するものなど、呼気による肺癌検査法がさまざまな開発段階にあるという。
北米の医療施設で集団感染が相次ぎ、高齢者を中心に死亡例も増えている強毒型の腸炎細菌が、関東地方と東海地方で過去に発病した患者2人の保存試料から9日までに検出された。国内で強毒型が確認されたのは初めて。調査した国立感染症研究所は「今後拡大する恐れがある」として、医療関係者に警戒を呼び掛けている。
感染研によると、患者は2001年に発病した関東地方の30代男性と、05年発病の東海地方の30代女性。北米での問題を受けた最近の調査で判明したが、感染経路は分かっていない。女性は入院患者だが男性は入院歴がなく、いずれも抗生物質の服用後に発病し、薬の変更などで回復したという。
問題の細菌は「クロストリジウム・ディフィシル」。抗生物質による治療で腸の常在菌のバランスが崩れた際に異常に増え、腸炎を起こすことが知られていたが、今回見つかったのは通常のディフィシル菌より多量の毒素を出す変異型で「027型」とも呼ばれる。
抗がん剤を入れた極小カプセルとがんの血管形成を妨げる薬の併用が、難治性の膵臓がんやスキルス胃がんの治療に有効であることを、東京大と大阪市立大が動物実験で突き止めた。米科学アカデミー紀要電子版に掲載された。
これらのがんは早期発見が難しいため、外科手術ができない場合が多く、今回の研究成果が新たな治療法に道を開くと期待される。
研究チームは、抗がん剤をくるんだ直径約65ナノ・メートル(ナノは10億分の1)の球状カプセルを、大量に静脈注射するがん治療法を開発している。がんが延ばす血管には、普通の血管にはない約100ナノ・メートルのすき間がたくさん開いていて、そこから漏れた抗がん剤カプセルを、がん細胞に蓄積させ、がんをたたくやり方だ。
ところが、膵臓がんやスキルス胃がんは他のがんより血管の数が少ないため、この手法ではカプセルががん全体に行き渡らず、うまくいかなかった。このためがんの血管形成に必要な因子「TGF―β」の阻害剤をマウスにごく少量投与した結果、がん細胞の血管壁がきちんと形成されず、すき間がより大きくなった。
カプセルを注射すると、血管が少なくても、がんをたたくのに十分な量のカプセルが、がん細胞内に流れ込むようになった。何もしないマウスと比べ、膵臓がんの大きさは6分の1、スキルス胃がんは半分まで小さくなった。狩野光伸・東大特任助手は「ごく少量のTGF―β阻害剤の投与でがんの血管だけが弱くなるのを発見したことで研究が進んだ」と話している。
宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)で万波誠・泌尿器科部長(66)が実施した11件の「病気腎」移植をめぐり、摘出手術中に摘出の是非や移植の適合性を診断する病理検査が一切行われていなかったことが、外部の専門医らでつくる同病院の専門委員会の調査でわかった。
移植しようとする腎臓に病気が見つかった場合は通常、実施されており、専門委員らは「科学的妥当性に欠けた医療行為」と指摘。11件すべてが不適切と認定した。
万波医師らが同病院を含む3病院で実施した計42件の病気腎移植のうち、同病院で摘出と移植を同時に行った6件と、ほかの病院で摘出された腎臓を同病院で移植した5件を合わせた計11件について、外部の専門医と徳洲会の医師計7人の専門委員が患者のカルテや、細胞を採取して調べた病理標本を分析した。
各委員が上部組織の調査委員会に提出した報告書によると、11件すべてについて、摘出手術の際に病変部分の一部を切り取って病理医が検査する「術中生検」が実施されていなかった。
術中生検を義務づけた取り決めなどはないが、がんを切除する場合はどの程度の部位を切ればいいか正確にわかるし、移植可能かどうかを最終的に判断できる。専門委員の一人は「臓器提供者の治療も移植患者のケアも考慮していないことを象徴する不作為」とみる。
新たにエイズウイルス(HIV)に感染し、まだ治療を受けていない人からも、特効薬が効きにくい薬剤耐性HIVが検出される例が増えていることが、名古屋医療センターの金田次弘臨床研究センター部長、伊部史朗研究員による調査で明らかになった。
HIVの感染者数が増加の一途をたどっている中、強力なウイルスの感染が拡大しているといえ、今後の患者数の増大が心配される。
日本で承認・販売されている抗HIV薬は3種類18剤あり、3剤以上を組み合わせて同時服用する多剤併用療法が行われている。
HIVは変異しやすいため、途中で服用をやめるなどウイルス増殖抑制を不十分なままにすると、薬剤に抵抗性を示す変異体が増殖。
多剤併用療法のウイルス増殖抑制効果を無効にする薬剤耐性ウイルスを生み出してしまうことがある。
金田部長らは1999年からこれまでに337人の未治療HIV感染患者の薬剤耐性遺伝子型検査を実施。薬剤耐性ウイルスの検出率は、99年から2001年にかけて6・7、5・9、2・3%と減少したものの、02年に7・3%と増加した。
03年には8・3%とピークを記録した。04年には2・2%まで減少したが、再び増加に転じ、昨年は7・9%となった。
金田部長は「耐性ウイルスが多様化し、感染を拡大している表れ」と話し、拡大防止の必要性を訴えた。調査結果は4日、名古屋市中区栄3の栄ガスビルで開かれる市民公開シンポジウム「エイズとの闘い−その最前線2007」(国立病院機構血液医療ネットワーク主催、中日新聞社後援)で発表される。
インフルエンザ治療薬「タミフル」をのんだ中学生が相次いでマンションから転落死した事態を受けて、厚生労働省は28日、インフルエンザにかかった子供を「2日間は1人にしない」ことなどを保護者に説明するよう求める通知を医療関係者らに出した。
タミフルと異常行動の因果関係については否定的だが、服用に関係なくインフルエンザ患者が脳炎・脳症のため異常行動を起こすこともあるため、「事故を防ぐために考えられる措置をとった」としている。こうした注意喚起は異例。
通知は、タミフルについて「現段階で安全性に重大な懸念があるとは考えていない」とし、タミフル販売前にもインフルエンザ患者が異常行動を起こしたとの報告があると指摘している。
そのうえで万が一の事故の予防のため、小児・未成年者がインフルエンザで自宅療養する際は、タミフル服用の有無にかかわらず(1)異常行動が出る恐れがあること(2)2日間は患者が1人にならないよう配慮すること、を家族らに説明するよう医師らに求めている。
タミフルは01年2月の国内発売以来、のべ約3500万人が使用した。昨年までに服用後の死亡が報告されたのは54人で、転落などの異常行動で亡くなったのは3人。愛知県蒲郡市と仙台市の中学生を含めると5人となる。5人の死亡時の年齢は12〜17歳。 通知の内容は厚労省のホームページで見ることが出来る。
生活習慣病の予防などに効果があるとされる抗酸化物質が入ったサプリメント(補助栄養剤)を摂取すると、種類によって寿命が縮まるかもしれない。デンマーク・コペンハーゲン大などのグループが、28日付の米医師会誌で過去の試験を分析した結果を発表した。
同グループは、サプリメントの効果に関する臨床試験から68件の報告を無作為に抽出。ビタミンA、同C、同Eとベータカロテン、セレンの計五つの抗酸化物質を含む様々なサプリメントについて、摂取の有無と死亡率との関係を調べた。
その結果、ビタミンA、同E、ベータカロテンを摂取していた人は、摂取していない人と比べ死亡率が約5%高かった。一方、ビタミンCとセレンについては死亡率との因果関係はみられなかったという。抗酸化物質は野菜や果物など天然食品にも含まれるが、調査は人工合成されたサプリメントの効果のみを対象にした。被験者は計約23万2600人。
抗酸化物質は体内で活性酸素の働きを抑え、動脈硬化など生活習慣病の予防に効果があるとされる。今回の調査で、因果関係が明確になったわけではない。ただ、同グループは「活性酸素の減少が生体防御の仕組みに影響を与えたのではないか」などとみている。
同グループによると、抗酸化物質入りのサプリメントを使っている人は欧州と北米だけで8000万〜1億6000万人に上る。
人口密集地の首都圏で新型インフルエンザが発生した場合、最初の患者の診断が確定した時には、感染者は首都圏全域で約3000人にも広がっている可能性があることが、国立感染症研究所の試算でわかった。 大都市圏での感染の早期封じ込めが、極めて困難なことが裏付けられた。
大日康史(おおくさやすし)・同研究所主任研究官らは、首都圏在住者88万人の移動パターンを調べた東京都市圏交通計画協議会のデータを使い、新型インフルエンザの感染拡大の様子をコンピューターで試算した。
アジアかぜ(1957年)や香港かぜ(68年)など、過去の新型インフルエンザの潜伏期間は1〜3日。そこで、東京・八王子市の会社員が新型インフルエンザが流行している海外で感染し、その潜伏期間中の3日目に帰国したと想定。翌日の4日目には発熱症状が出始めたが、東京駅周辺の会社に通勤し、5日目に会社で倒れるまで2日間、電車や会社、家庭などで感染を広げる最悪のケースを考えた。
会社員の1メートル以内に近づいた人は感染するとして試算した結果、感染者は4日目に30人、5日目には154人。会社員から採取したウイルスが、検査で新型インフルエンザウイルスと確認された7日目には、3032人にまで膨れあがった。
厚生労働省が先月示した新型インフルエンザ対策指針案では、発生初期は限定的に指定した医療機関に可能な限り患者を収容して、感染拡大を抑え込む方針だが、今回のケースでは、それだけではとても間に合いそうもない。
新型インフルエンザが海外で流行した場合、通常、その地域への渡航自粛が呼びかけられ、帰国時の検疫も強化される。症状があれば隔離されたり、自宅待機を勧められる。
今回の試算は考えられる最悪のシナリオを想定したが、大日主任研究官は「もし大都市圏で患者が発生したら、早期に大流行に対応する体制をとり、広範囲に自宅待機や休校などの対策を実施するべきだ」と指摘する。今後、電車通勤が少ない地方都市でのケースも試算する方針だ。
新型インフルエンザ 鳥などの動物に流行するインフルエンザA型ウイルスが変異し、人から人へと感染しやすくなったもの。厚労省の推定では、新型インフルエンザが国内で大流行した場合、25%の人が感染し、最悪のケースでは200万人が入院して、64万人が亡くなるという。
同省は1月、感染拡大を最小限に食い止める「早期対応戦略指針」など、国や自治体、国民が取るべき対応策の基本方針を定めた12指針案を公表、今年度中に決定する。
日本産科婦人科学会(理事長・武谷雄二東京大教授)は、24日の理事会で、生殖補助医療に用いる、凍結保存した精子について、「保存期間は、提供者本人が生きている間」に限るとし、死亡した場合には廃棄することを決めた。4月の総会で、会告(指針)として正式決定する。
会告案によると、凍結保存した精子を体外受精や人工授精で使う場合には、提供者本人の生存と意思を確認する。本人から廃棄の意思が表明されるか、本人が死亡した場合には、保存精子を廃棄するとした。
一方、この日の理事会は、医療技術の進歩で可能になった出生前検査・診断に関する会告を策定する方針を決めた。これは、1988年に定めた先天異常の胎児診断に関する会告が、現在の医療水準に比べて時代遅れになっているためで、妊婦の血液を採取して、胎児がダウン症かどうかを調べる「母体血清マーカー検査」など88年以降に普及した出生前検査を取り込む形で、今回新しい会告をまとめることにした。
この日提示された会告案によると、裁判所の要請を除き、「出生前親子鑑定」のような医療目的でない遺伝子検査については、行わないとした。出生前親子鑑定は生まれてくる前に、胎児の細胞を含む羊水を採取し、DNAをもとに父親が誰かを調べる技術。
乳がんと生理、体格などとの関連を調べていた厚生労働省の研究班(主任研究者=津金昌一郎・国立がんセンター予防研究部長)は21日、「初潮が早い」「背が高い」女性ほど、がんのリスクが大きいという分析結果を発表した。「出産経験のない」女性にも乳がんが多く、こうした傾向は、欧米の研究とも一致した結果という。
対象としたのは、全国10府県の40〜69歳の女性5万5000人。研究班は90年と93年に、対象者の体格や出産経験などを聞き、約10年間にわたって追跡調査した。
その結果、閉経前の女性では、初潮を迎えた年齢が「14歳未満」のグループは、「16歳以上」に比べ乳がんのリスクが4倍だった。閉経した年齢でみると、「54歳以上」が「48歳未満」の2倍だった。研究班によると、女性ホルモンの分泌が影響している可能性があるという。
また、出産経験のない人は、ある人に比べてリスクが1.9倍だった。子どもが多いほど、がんになっている女性が少なかった。
身長でみると、「160センチ以上」が「148センチ以下」に比べ、閉経前で1.5倍、閉経後で2.4倍だった。栄養状態などが関係しているとみられる。閉経後の女性では、体格指数(BMI)が高く太っているほどがんが多かった。
がんセンターの岩崎基・ゲノム予防研究室長は「自分で意識して避けられるリスクは肥満。ほかの要因は自分で管理できないので、定期的に乳がん検診を受け、早期に発見してほしい。今後は個人ごとにリスクを判断できるシステムづくりを考えたい」と話している。
千葉県の船橋市立医療センターは22日、同県内の50歳代の男性が、主に牛の病気の原因とされる「気腫疽菌(きしゅそきん)」に感染し、死亡したことを明らかにした。
気腫疽菌は破傷風菌の仲間で、通常は土の中などに存在する。人への感染が報告されたのは世界初という。
同センターによると、気腫疽菌は、傷口などから動物の体内に入り、筋肉が壊死する「気腫疽」を発症させる。若い牛や羊に発症例が多く、致死率は非常に高いとされる。
死亡した男性は2006年2月、高熱と胸の打撲傷で、同センターに搬送された。男性は搬送時、既に心肺停止状態で、すぐに死亡。のどの炎症を起こし、体全体が膨れ上がり、特に肺の膨張が著しかったため、男性の肺の組織を調べると、気腫疽菌が検出され、肺の筋肉が壊死(えし)していた。
気腫疽菌(きしゅそきん)
気腫疽の病原体であり、土壌及び動物の体内に広く分布し、偏性嫌気性、グラム陽性有芽胞菌群として特徴的なクロストリジウム属菌の一つである。
本菌は、鞭毛を持ち、両端鈍円のグラム陽性大型桿菌で、球状の端在性芽胞を形成する。芽胞は100℃、30分以上加熱しないと死滅しない。マウスに致死性の外毒素を産生する。この毒素を用いて気腫疽の血清学的診断に応用される。
本病は土壌病の一種で、土壌に含まれる本菌の芽胞が創傷部及び消化管に侵入することにより発症する。致死率が非常に高い病気であり、主に反芻獣に感染し、感染すると突然の高熱、元気消失、反芻停止を示す。
また、多肉部及び四肢に腫瘤形成する。症状が悪化すると呼吸困難、頻脈となり1〜2日で死亡する。本病は6ヶ月齢から3歳のの若い牛に発症例が目立ち、春から秋にかけての発生が多い。
06年度の診療報酬改定で、医療費抑制策の目玉として、医師が新薬をより安価な後発医薬品(ジェネリック)に切り替えやすくするよう処方せん様式を変更したが、実際の処方で後発薬に変更されたのは6%弱(昨年10月分)にとどまることが、厚生労働省の調べで分かった。
同省は低迷している後発薬のシェアを高め、医療費の伸びを抑えたい考えだが、処方せん改革の出足を見る限り成果は上がっていない。
後発薬は新薬の特許が切れた後、新薬と同等の成分や効能を持つ薬として発売される。価格が新薬の2〜7割のため、普及すれば年間約6兆円の薬剤費を大幅に抑制できるとしている。
厚労省は06年4月から、処方せんに「後発医薬品への変更可」と記したチェック欄を設け、チェックがあれば薬剤師が後発薬を処方できるようにした。
しかし、厚労省が昨年11月、全国の保険薬局1000カ所を対象に10月に扱った処方せんを調べたところ、回答した635薬局の計96万9365枚のうち、「変更可」にチェックがあったのは17・1%の16万5402枚にとどまった。さらに実際に後発薬に変更されたのは、5・7%の9452枚しかなかった。
後発薬は、患者にとっても自己負担額が減るが、シェアは17%程度にとどまっている。普及しない背景には、信頼が十分確立されていないことや、「公定価格の高い新薬の方が薬価差益を稼げる」と考える医師の存在があるとされる。
患者の精神的ダメージを最小限にとどめる「がん告知」を目指し、07年度から医師を対象にした講習会が全国規模で開かれることになった。
がん患者の精神的ケアをする医師らでつくる「日本サイコオンコロジー学会」(代表世話人・内富庸介国立がんセンター東病院精神腫瘍(しゅよう)学開発部長)が準備を進めてきた。厚生労働省も07年度予算案に約2500万円を計上し、バックアップする。
がん告知は、患者や家族にとって精神的な負担が極めて大きい。しかし、大学の医学教育などには、患者の感情や生活の質(QOL)を重視する十分なカリキュラムが組まれていない。このため、医師の心ない発言で患者が傷つくケースが相次いでいる。例えば「まだ、生きられると思っていたんですか」(暴言型)「抗がん剤でも民間療法でも、あなたの好きな方でいいですよ」(責任放棄型)などだ。
国立がんセンター東病院精神腫瘍学開発部は昨年9月、患者の意向調査の結果を踏まえ、告知の技術習得のためのテキストを作成した。「相手の目を見て話をする」などの基本的動作から、告知を伝える環境設定、「悪い情報」の伝え方、患者の情緒的支援の方法まで網羅されている。すでに講師を務める医師、臨床心理士8人を確保した。
講習会はこの8人が中心となり、07年度は東京、大阪、福岡など7カ所で開く。内富氏は「告知の成否はその後の治療にも大きく影響する。患者の意向に沿った医療の実現に全国講習会は役立つ」と話している。
宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)の万波誠泌尿器科部長らによる病腎移植問題で、万波部長がB型肝炎ウイルス検査や梅毒の抗体検査で陽性だった患者から摘出された腎臓を、前任の市立宇和島病院で移植に使っていたことが17日、分かった。
関係者によると、万波部長はB型肝炎ウイルスの血液検査で陽性だったネフローゼの患者から摘出された両方の腎臓を、2人に移植した。B型肝炎は感染して慢性化すると、肝硬変や肝臓がんに進行する恐れがある。
同病院の調査に対し、万波部長は「移植する際、感染症のことを(患者に)口頭で説明した」と話しているという。
また平成15年2月に三原赤十字病院(広島県三原市)で尿管がんのため腎臓を摘出した70歳代の男性(その後、死亡)は、梅毒の抗体検査で陽性だったが同様に移植に使ったという。
男性の元主治医(45)は「梅毒は1回でもかかれば抗体ができて、その『痕跡』が体に残る。詳しく調べたところ、病原菌はいないと判断できるほど数値は低かったので、移植に使えると判断した」と説明している。
万波部長はほかに、7年に腎臓が化膿(かのう)する感染症の腎膿瘍(のうよう)の女性から摘出された腎臓も移植に使用。患者は術後1カ月で腎機能が低下し、人工透析治療に戻ったという。
厚生労働省は死体からの腎臓提供の基準で、エイズウイルスやB型肝炎ウイルスの検査が陽性の場合や、がんの患者は臓器提供できないと通知している。生体移植の規定はないが、移植医療の専門家は「移植では大量の免疫抑制剤を使うため、患者に感染する可能性が高まる。考えられない」と指摘している。
日本医師会は定例記者会見で、医療提供体制の国際比較についての調査・分析結果を公表した。それによると、日本の経済力から判断すると、医師数は非常に少なく、1人当たりGDPが一定水準にある国の中で、1000人当たり医師数は日本が最下位だった。
日医は、経済力にあった社会保障制度にするため、国へ医療資源確保の財源的手当てを検討することを求めた。
調査では、(1)経済力(GDPを指標とする)からみた場合に、日本の医療資源が本当に過剰であるのか(2)高齢化に対応した医療提供体制が整えられているのか−−を検証する目的で調べられた。
方法は、「OECDヘルス・データ2006」を用いて、1996年、04年の医療提供体制と総医療支出(国民医療費に介護保険サービス費、健康・予防にかかわる費用、管理コスト等を加えたもの)などを、OECD加盟国(日本を含めて30カ国)間で比較した。
分析によれば、日本の対GDP比総医療費支出は、96年は7.0%で29カ国(当時の加盟国)中で21位、04年は8.0%で30カ国中21位だった。日医では「低医療費政策によって日本は長年、医療費後進国から脱することができずにいる」としている。
また04年で、1人当たりGDPが平均(3万0242ドル)以上でありながら、1人当たり総医療支出が平均(2529ドル)以下なのは、日本、イギリス、フィンランドの3カ国だけだった。
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を防ぐ働きがあるホルモンの「アディポネクチン」が体内で作用するメカニズムを、東京大大学院医学系研究科の門脇孝教授らの研究チームが、マウスを使った実験で突き止めた。メタボリック症候群の根本的治療法開発につながる可能性がある。米科学誌「ネイチャー・メディシン」(電子版)に発表した。
アディポネクチンは脂肪細胞から出るホルモンで、脂肪を燃焼してインスリンの働きを助ける善玉物質。肥満や内臓脂肪蓄積で脂肪細胞が肥大化すると、このホルモンが低下し、糖尿病などのリスクが高まることがわかっていた。
研究チームは、体内でアディポネクチンと結合する2種類の物質(受容体)を作れなくしたマウスについて、血糖値やインスリン抵抗性を調べた。
その結果、受容体を欠いたマウスでは、糖尿病を防ぐ作用が消失することが判明。逆に、肥満マウスの肝臓で受容体の遺伝子発現を上昇させると、糖尿病が顕著に改善した。
これらの実験結果から、受容体とアディポネクチンが結びつくことで、血糖制御や脂肪代謝、インスリン抵抗性を改善させると結論づけた。
日本人の40%は遺伝的に、アディポネクチンが少ない体質で、高脂肪食や運動不足などの生活習慣とともにメタボリック症候群の増加要因となっている。
門脇教授は「今回の成果をもとに、2種類の受容体と同じように働く治療薬の開発が期待される。遺伝的要因にも環境(生活習慣)要因にも効果があるメタボリックシンドロームの根本的治療につながる」と話している。
がんなどの痛みを和らげる医療用麻薬を、在宅でも使いやすくするため、厚生労働省は国の麻薬管理マニュアルを初めて改訂した。患者本人が手元で薬を管理できるようにするなど、規制を大幅に緩和した。
がん対策基本法が施行される4月を前に、自宅で行える緩和医療を受けやすくし、患者の生活の質を高めるのが狙いだ。
モルヒネなどの麻薬は乱用防止のため、麻薬取締法で管理の仕方が厳しく制限されている。一方で、適切に使えば、意識を残したまま、痛みだけを取り除くことができ、医療用麻薬の需要が高まっていた。
このため、厚労省研究班が89年度、医療従事者向けに使用の注意点をまとめたマニュアルを作成。調剤や患者への受け渡し、管理、廃棄などの仕方をまとめた。ただ、薬は薬局やナースステーションで管理し、受け取りは患者本人か家族に限っていた。
しかし、胃で少しずつ溶ける飲み薬や、張り薬などが発売されたことなどから在宅使用が広がり、国内の使用量はこの15年間で約10倍になった。
また、「在宅患者が増えた今、マニュアルの医療用麻薬の基準は厳しすぎる」という声が在宅ケアの現場などから出ていたことなどから、厚労省は、専門家による検討会を設置。マニュアルを昨年末に改訂した。